2025年1月20日に就任予定のアメリカのトランプ次期大統領は、選挙戦中から「一律関税」を掲げ、多くの注目を集めています。本記事では、この政策の具体的内容やその影響について、国内外の動向を交えて解説します。
1. 一律関税とは？
トランプ次期大統領は、すべての輸入品に対し一律で関税を課す方針を公約として掲げてきました。2023年8月のインタビューでは、アメリカで不当に安く販売される輸入品に対し「10～20％の関税を課す」と発言。この政策の目的は以下の通りです：
• アメリカの労働者や産業を保護
• 外国製品との競争を是正
• 財政赤字の削減
しかし、この方針には国際経済や国内消費者への負担が懸念されています。
2. 日本への影響：企業の対応
2-1. 水産業界の動き
日本では、アメリカへの輸出が盛んなブリの需要が急増しています。愛媛県の水産会社「イヨスイ」では、アメリカからの駆け込み需要に対応するための供給が追いつかない状況です。しかし、以下のリスクが浮上しています：
• 関税引き上げによるアメリカ国内での消費意欲低下
• 供給体制の逼迫による輸出の不安定化
2-2. 自動車部品メーカーの挑戦
埼玉県の自動車部品メーカーは、産業用ロボット部品への参入を進めています。従来の自動車部品製造に依存していた同社は、新分野の拡大を図り、収益の安定化を目指しています。
3. アメリカ国内の反応
3-1. 小売業界の動揺
アメリカ国内では、関税引き上げ前に商品を駆け込みで輸入する動きが活発化。ペンシルベニア州の小売店では、中国からの輸入品に依存しており、関税引き上げがコスト増加を招くことを懸念しています。
3-2. 経済への試算
全米小売業協会（NRF）は、消費者の負担増加を指摘。輸入品への10％の一律関税が課されると、以下の影響が予測されています：
品目 価格上昇率
衣料品 12.5%
家電製品 19.4%
靴類 18.1%
おもちゃ 36.3%
さらに、1世帯あたり年間約5万6000円の負担増が見込まれています。
4. 専門家の見解：一律関税の課題
戦略国際問題研究所（CSIS）の葛西泰介氏は、以下の点を指摘しています：
• 国内インフレの懸念：一律関税が物価上昇を加速させる可能性がある。
• 同盟国との関係悪化：アメリカの外交的利益を損なうリスクが高い。
• 実現性のハードル：対象国や品目の絞り込みが必要。
また、トランプ氏は「国際緊急経済権限法（IEEPA）」を根拠として関税を導入する可能性があるとされていますが、この法案には議会への報告義務などの制約もあり、柔軟な運用が求められます。
5. まとめ：日本企業が取るべき対策
不確実性が高い一律関税政策に対し、日本企業は次のような対応を検討すべきです：
1. サプライチェーンの可視化：リスクがどこに潜んでいるか把握する。
2. 情報収集の強化：ワシントンを中心に最新情報を入手。
3. 事業多角化の推進：新分野への進出で収益源を増やす。
トランプ政権の政策動向を注視しつつ、迅速かつ柔軟な対応が求められる時期です。
今後の動きについても随時更新予定です。ブリ輸入や自動車部品メーカーの動向、アメリカ経済の影響など、最新情報をお届けしますので、引き続きご覧ください！
