考え方のクセとの付き合い方
日常生活の中で、何気ない出来事の捉え方が私たちの感情にどれほど影響を与えているか考えたことはありますか?例えば、**「同僚が忘れた書類をわざわざ追いかけて届けてくれた」**という出来事一つを取っても、捉え方は様々です。「届けてくれて助かった」と考える人もいれば、「自分のためにわざわざ悪いなぁ」と感じる人もいるでしょう。このように、事実は一つでも、その解釈は無限に存在します。
考え方のクセとその影響
考え方のクセとは、誰もが持つ思考のパターンのことを指します。私たちは、すべての出来事について根拠をもって論理的に思考することは現実的に不可能です。そのため、多くの人が自然に持つ思考のクセがあり、そのクセが感情に大きな影響を与えています。以下に、代表的な考え方のクセをまとめました。
代表的な考え方のクセ一覧
1. 全か無か思考
物事を一括りで考え、柔軟さを失ってしまう。
2. 過度の一般化
一つの失敗をもとに**「いつもうまくいかない」**と決めつける。
3. 心のフィルター
悪いことにばかりこだわり、良いことを無視してしまう。
4. マイナス化思考
何でもないことをネガティブに意味づける。
5. 結論の飛躍
根拠が無いのに、悲観的な結論を出してしまう。
6. 誇大視と過小評価
悪いことを大きく捉え、良いことを小さく捉える。
7. 感情的決めつけ
客観的な事実よりも感情を証拠としてしまう。
8. すべき思考
**「こうあるべき」**という強迫観念により自分を追い詰める。
9. レッテル貼り
自分や他人に対して、極端な決めつけをする。
10. 自己関連付け
何か悪いことがあると**「自分のせいだ」**と責めてしまう。
多くの人は、これらの思考のクセに心当たりがあるのではないでしょうか?
考え方のクセと上手に付き合うために
考え方のクセを消すことは難しいですが、それに対して別の視点を持つことは可能です。たとえば、冒頭の事例で「自分のためにわざわざ悪いなぁ」という考えだけが浮かんでいたとき、そこから生じる感情は**「罪悪感」だけで、それが100%のウエイトを占めてしまいます。しかし、「届けてくれて助かった」という考えを追加することで、「罪悪感50%、喜び50%」と感情のウエイトが分散し、よりポジティブな視点を持てるようになります。これを「バランス思考」**と呼びます。
バランス思考を見つける方法
バランス思考を見つけるために、以下の質問を自分に問いかけてみてください。
• 友達が同じことを考えていたら何と言ってあげたいか?
• 以前同じようなことはなかったか?その時どのように対処したか?
• 自分ではどうしようもないことで自分を責めていないか?
• 何のためにそう考えるのか?
• 自分は何を心配しているのか?
• 自分自身に何と言ってあげたいか?
一つでもバランス思考が思いつけば、感情のウエイトは減少します。繰り返し行うことで、自然とバランス思考が浮かぶようになってきます。
考え方のクセとの付き合い方を練習しよう
考え方のクセは、私たちが生きていく中で必要に迫られて身につけたものであり、ある種の処世術です。それがあるからと言って自分を責める必要はありません。ただし、その考え方が自分を苦しめているのであれば、今回紹介した方法で少しでも楽になる手助けができたら幸いです。
まとめ
• 考え方のクセは誰にでもあるもの
• 重要なのは、新たな視点を追加してバランス思考を持つこと
• 繰り返し練習して、クセを上手に管理する
自分の思考パターンに気づき、それを調整することで、より健全で幸せな生活を送ることが可能になります。今回の内容が皆さんの日常生活に役立てばと思います。