2024年、円高に備えた銘柄選びのヒント
2024年の為替動向は、投資家にとって重要なポイントです。円高ドル安が進行する可能性を考慮し、過去に円高時に上昇した銘柄の傾向を分析することは、効果的な投資戦略を立てる手助けになります。特に、対米ドル円ベータ値に注目することで、円高の影響を強く受けやすい銘柄を把握することができます。
円高の可能性と2024年の見通し
- 2024年は円高ドル安に進む可能性があります。
年初は円安傾向でしたが、FRBの利下げ期待と日本銀行の金融政策正常化により、ドル円が140円割れを試すことも考えられます。 - 日銀のマイナス金利解除が進むと、円高圧力が高まる可能性があり、円高米ドル安に備える投資戦略が有効です。
過去の円高時に上昇した銘柄の傾向
円高が進行した際に上昇した銘柄は、以下の4つの傾向で分類されます。
1. 円高メリットグループ
- 円高により原材料や商品の仕入コストが低下し、業績が好転する業種。
- 例:ニトリHD(3923)、神戸物産(3038)
2. 円高無関係グループ
- 為替の影響を受けにくい業種として、ヘルスケアやインターネットサービスが該当。
- 例:LINEヤフー(4689)、小林製薬(4967)
3. 高成長期待グループ
- 成長期待の高い半導体や電子デバイス関連銘柄が多く、円高の影響があっても業績が伸びる可能性があります。
- 例:東京エレクトロン(8035)、信越化学工業(4063)
4. 高ROEグループ
- ROE(自己資本利益率)が高い銘柄で、円高の影響を受けにくい内需・外需問わず業績が安定している企業が含まれます。
- 例:ラクス(9843)、GMOペイメントゲートウェイ(3769)、ソニーグループ(6758)
対米ドル円ベータ値ランキング
ベータ値がマイナスで値が大きいほど、円高ドル安に強く反応し、株価が上昇しやすい銘柄を示します。ここでは、直近5年間(60ヵ月)のデータをもとにした対米ドル円ベータ値ランキング上位25銘柄を整理した表でご紹介させて頂きます。銘柄名、コード、ベータ値、そして各銘柄が属するグループも併記しています。
順位 | コード | 銘柄名 | 対ドル円ベータ値 | グループ |
---|---|---|---|---|
1 | 9843 | ニトリHD | -1.31 | ① 円高メリッ |
2 | 3923 | ラクス | -1.24 | ④ 高ROE |
3 | 3769 | GMOペイメントゲートウェイ | -1.15 | ④ 高ROE |
4 | 3092 | ZOZO | -0.97 | ④ 高ROE |
5 | 3038 | 神戸物産 | -0.94 | ① 円高メリット |
6 | 8035 | 東京エレクトロン | -0.87 | ③ 高成長期待 |
7 | 5713 | 住友金属鉱山 | -0.84 | (グループ記載なし) |
8 | 9107 | 川崎汽船 | -0.81 | ④ 高ROE |
9 | 6707 | サンケン電気 | -0.81 | (グループ記載なし) |
10 | 6758 | ソニーグループ | -0.80 | ④ 高ROE |
11 | 2175 | エス・エム・エス | -0.75 | ④ 高ROE |
12 | 4689 | LINEヤフー | -0.72 | ② 円高無関係 |
13 | 6005 | 三浦工業 | -0.72 | (グループ記載なし) |
14 | 4063 | 信越化学工業 | -0.70 | ③ 高成長期待 |
15 | 6407 | CKD | -0.68 | (グループ記載なし) |
16 | 7734 | 理研計器 | -0.67 | ③ 高成長期待 |
17 | 7735 | SCREEN HD | -0.65 | ③ 高成長期待 |
18 | 4967 | 小林製薬 | -0.65 | ② 円高無関係 |
19 | 3436 | SUMCO | -0.60 | ③ 高成長期待 |
20 | 6976 | 太陽誘電 | -0.60 | ③ 高成長期待 |
21 | 8919 | カチタス | -0.56 | ④ 高ROE |
22 | 3902 | メディカル・データ・ビジョン | -0.56 | ④ 高ROE |
23 | 6080 | M&Aキャピタルパートナーズ | -0.54 | ④ 高ROE |
24 | 7453 | 良品計画 | -0.52 | ① 円高メリット |
25 | 4970 | 東洋合成工業 | -0.49 | ③ 高成長期待 |
グループの説明
- ① 円高メリットグループ:小売・食品など、円高により原材料や商品の仕入コストが低下する企業。
- ② 円高無関係グループ:為替の影響を受けにくい業種、特にヘルスケアやインターネットサービス。
- ③ 高成長期待グループ:半導体や電子デバイス関連など、成長が期待される企業。
- ④ 高ROEグループ:内需・外需問わず、自己資本利益率(ROE)が高く、成長が安定している企業。
この表を基に、2024年の投資戦略を立てる際に、どのグループに注目するかを検討することができます。