中国EVバブル崩壊!PHVが主流に?SDV市場93兆円の新戦略とは

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中国EVバブル崩壊で転換期到来!新たな主戦場は「93兆円SDV市場」へ

EV市場の減速とPHVの台頭

中国の電気自動車(EV)市場が急速に転換期を迎えている。
2022年には倍増、2023年も38%増加したEVの販売台数だが、2024年1~8月期は前年比9.7%増と1桁成長に鈍化。一方でプラグインハイブリッド車(PHV)の販売は84%増と急拡大しており、EV市場の勢いが大きく変わりつつある。

PHVが伸びる理由
• 地方での充電インフラ不足 → エンジン搭載のPHVが安心
• BYDの低価格PHV戦略 → 航続距離2,100kmのPHVを約200万円で販売
• 消費者の実用性重視 → 価格・燃費のバランスを求める傾向

BYDの戦略が功を奏し、PHVの販売台数がEVを上回る勢いだ。
EV市場の成長が鈍化する中で、価格競争が激化しており、各社がPHVへの経営資源シフトを進めている。

EV輸出にも逆風、世界的な関税引き上げ

EV市場の鈍化に加え、中国メーカーの輸出にも厳しい状況が迫っている。
各国が中国製EVへの関税を引き上げ、市場進出の障壁が高まっている。

国・地域 関税の動き
EU 2024年7月から輸入関税を段階的に引き上げ
米国 2024年9月27日より、EV関税を100%(4倍)に増加
カナダ 2024年10月より、関税を6.1%から100%に引き上げ

この影響で中国製EVの輸出が減少。特に、欧州市場への影響が大きく、中国政府はWTOに提訴するなど対抗策を進めている。しかし、現状では世界的にEVバブル崩壊の兆しが見えている。

新たな主戦場「SDV市場」へ

中国EVメーカーはEV市場の鈍化を受け、新たな成長領域「SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)」へシフトしている。

SDVとは?
• ソフトウェア中心の次世代車
• 自動運転やエンターテイメント機能のソフト更新が可能
• スマートフォンのように車をアップデート可能

中国勢はEVの開発体制を活かし、SDVでも世界をリードする動きを見せている。

小米(シャオミ)がEV参入、SDV競争を加速

2024年、小米(シャオミ)が初のEV「SU7」を発売し、大ヒット。
わずか1カ月で7万5000台超の予約を獲得した。

小米のSDV戦略
• 独自OSの継続的アップデート
• 家電・スマホとEVの連携強化
• 自動運転技術の開発加速(開発者1500人に増員)

この戦略により、小米は「ソフトウェアで稼ぐEV」という新たなビジネスモデルを確立しつつある。

中国IT大手がSDV市場に本格参入

SDVの成長を受け、中国のIT企業もEV市場へ本格参入している。

企業 EV・SDVへの取り組み
百度(バイドゥ) 自動運転技術の開発
騰訊(テンセント) 車載エンタメシステム開発
華為技術(ファーウェイ) EVのソフトウェア・ハードウェア両方を開発

特にファーウェイは、自社でEVを製造するのではなく、EVメーカーと提携しソフトウェアを提供する戦略をとっている。

SDV市場は2023年の93兆円規模へ拡大

米ボストン・コンサルティング・グループによると、SDV市場は2030年までに6500億ドル(約93兆円)規模に成長すると予測されている。
これは世界の自動車関連市場の15〜20%に相当する巨大市場だ。

日本・欧州メーカーの遅れ

中国メーカーのSDV開発が進む一方で、日系・欧州メーカーは遅れを取っている。

メーカー SDVへの対応
トヨタ 2025年春、中国専売EV「bZ3X」に独自OS搭載
日産 2024年、EV「N7」に自動運転機能を搭載予定
フォルクスワーゲン(VW) ソフトウェア開発で中国メーカーと提携

トヨタは、EV市場の変化を受けてPHVとSDVの両立戦略を強化している。しかし、中国のIT企業やEVメーカーのスピードに比べると開発の遅れが目立つ。

【まとめ】EVバブル崩壊後の覇権争い

  1. 中国EV市場の減速
    • EV販売は1桁成長に鈍化
    • PHVが主流へシフトし、BYDが市場を席巻
  2. 世界的なEV輸出規制
    • 米国・EU・カナダが関税引き上げ
    • 中国製EVの輸出減少、価格競争が激化
  3. SDV市場へのシフト
    • EVよりもソフトウェアで稼ぐ時代に
    • 小米、百度、華為などIT企業がEV市場に本格参入
  4. SDV市場は2030年に93兆円規模へ
    • 世界の自動車市場の15〜20%を占める成長分野
    • 日系・欧州メーカーは開発の遅れが課題

今後の展望

中国EV市場のバブル崩壊を受け、次の主戦場はSDV市場へ移行しつつある。
EV市場で培ったソフトウェア開発力を活かし、中国勢がSDV市場をリードする可能性が高い。

PHV vs EV、SDV vs 伝統的自動車産業という新たな競争構造が今後の焦点となる。
今後、日系・欧州メーカーがSDV戦略を強化できるかどうかが、自動車業界の行方を左右するだろう。

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